子どもたちの心に残る一日を——映画『郷』の学校上映
学校の体育館が、映画館になる日。映画館とは違う、学校の体育館で観る映画。いつもは体育の授業で使っている場所にスクリーンが設置され、カーテンが閉められる。照明が落ちると、見慣れた体育館が、少し特別な空間へと変わります。”これから何が始まるのだろう”。そんな期待を抱きながら、子どもたちがスクリーンを見つめる姿には、学校上映でしか味わえない魅力があると感じています。
⚫︎学校上映だからこそ生まれるもの
学校生活は、授業や行事など、決められた時間の中で進んでいきます。その日常の中に映画上映という時間が加わることは、子どもたちにとって一つの特別な体験になります。友人や先生と同じ場所に集まり、大きなスクリーンに向き合い、同じ時間を共有する。誰かが笑ったり、息をのんだり、静かに涙を流したりする気配まで含めて、一つの鑑賞体験になります。映画の内容だけではなく、「みんなで一緒に観た」という記憶が、学校生活の一場面として心に残っていくのだと思います。
⚫︎映画には答えを教えるのではなく問いを残す力がある
映画『郷』は、台詞や説明をできる限り少なくし、日本の自然や人々の営みを映像で描いた作品です。作品の中で、何を感じなければならないという決まった答えはありません。命について考える人もいれば、家族や故郷を思い浮かべる人もいます。自分の進路や生き方、身近にいる大切な人との関係について、あらためて考える人もいるかもしれません。同じ映像を観ていても、心に残る場面や受け取るものは一人ひとり異なります。映画は、すぐに答えを与えるものではありません。けれど、普段は立ち止まって考えることのない問いを、静かに心の中へ届けることができます。
⚫︎鑑賞した後の時間も大切にしたい
私たちは、映画を上映して終わりにするのではなく、鑑賞後の対話や振り返りの時間を大切にしています。映画『郷』の学校上映では、独自に制作したワークシートを活用し、映画を観る前と観た後で、自分の気持ちや考え方にどのような変化があったのかを書いてもらうことで、自己を知り、他者を知る時間を大切にしています。
映画「郷」プロデューサー 小川夏果






